2020大賞作品【流浪の月】 凪良 ゆう 著

読み進めると止まらなかった。展開に引きつけられ、文章も読みやすく、一気に読み終えた。だが、テーマは重い。

登場人物の心情の表現がとても巧みで、だから、苦しくなる。主人公たちの抱えるもどかしさや絶望感、世の中の不条理。そのひとつひとつは、現実に起きていることと重なる。彼や彼女等の生き辛さは、親のエゴ、情報が溢れるweb上のデジタルタトゥー。真実を伝えようとしても、周りが勝手に解釈して、違う方向へと向かってしまう。様々な事を考えさせられる。最後には、彼らが軽やかに、たぶん「愛」を感じながら、生きていけるようになったのかもしれない。そうであって欲しい。それが、読み手には救いとなる。

中央公論新社公式サイト https://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488803018
本屋大賞サイト https://www.hontai.or.jp/history/hontai2020.html